九州の地方都市に住んでいると、中央のマスメディアから発信されている情報に対する違和感を感じることがときどきあります。私が以前から取り組んでいる「ワーク・ライフ・バランス」という言葉も然り。

 

都会では親との近居や同居のケースが少ないため、地方都市と比べて子育てのハードルが高いという現状があります。一方で地方都市では、親が近くにいるケースが多いため子育ての面で多大なバックアップを受けられます。安心して働けるので、ワーク・ライフ・バランスを自身の問題として意識する必要がそこまでない訳です。

 

保育園の待機児童問題も同様で、首都圏や地方の県庁所在地都市を除くとそこまで問題になっていません。むしろ、その自治体に住む母親や子どもの数が減少していることがより大きな問題です。

 

 

産業再生機構のCOOを務めた冨山和彦氏の著書である『なぜローカル経済から日本は甦る』には、日本社会に横たわる少子高齢化に伴う労働人口減少について、現実に即した問題提起がなされています。

 

 

象徴的なのは、非製造業の比率が企業数で88.9%・従業員数で80.6%を占めていることから、G(グローバル)の世界でしのぎを削る製造業ではなく、L(ローカル)の世界で生産と消費が同時に行われるサービス業に焦点を当てた施策を行うべき、という点。

 

アベノミクスの恩恵を受けているのは軒並みグローバルプレイヤーですが、以前の産業構造と異なりその波及が地方や中小企業にはなかなか広がりません。日本の社会全体の活力を高めるためには、GとLの両方の世界でそれぞれの課題に即した施策の実行が必要です。

 

特に、圧倒的多数を占めるLの世界において必要なのは、労働生産性(単位労働時間あたりの付加価値生産性)を高めること。それによってより賃金を上げることができ、雇用を安定化させることができます。さらに地域経済の消費という形で好循環を生み出す効果や、労働条件を良くできるため業務の安定性や安全性を高められると著者は説きます。

 

女性の就労参加のリアリティは、普通の職場で子育てをしながら女性が働きやすくなること。日本社会全体の底上げのためには、よりインパクトの高いLの世界に焦点を当てた施策が求められます。

 

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